最近、よく笑われる。
私は常日頃から尋常でない忘却能力を遺憾なく発揮し、物を紛失し、予定を忘れてしまう特質の持ち主であるゆえ、鍵もチェーンでズボンにつけている。
TSUTAYAのバイト先では、そのチェーンがセキュリティー解除の磁石に吸い寄せられて、度々よろめいている。
女子高生から失笑を買う。
今週、映画研究会なるものが映画を上映していた。
朝の十時四十分開演のブラッドダイヤモンドを観にいった。最初、会場に入ってすぐ、私は来る場所を間違えたと思った。
上映五分前であるにも関わらず、人が誰もいないのである。
がしかし、間違いなはずはない。
直前まで場所を確認していたし、第一、入り口では映画研究会らしき人物が受け付けにいたではないか。
少々の不安を持ちつつ、席に着いた。
結局、人は誰も現れず、そのまま映画は開始された。
映画自体は実に素晴らしかった。感動の一作で、我が拙文を読んでいる紳士淑女の皆様にも是が非でも観てもらいたいものであった。
映画が終了すると、前に映画研究会員二人が現れた。
そして、おもむろに映画の解説を始めたのである。
気まずいことこの上ない。
なんといっても、観客よりも解説者の方が多いのだ。
目のやり場に困った(という表現は、だいたい女性の服装関連について用いる表現だが、この場合は致し方ない)。
がしかし、視線を逸らすわけにはいかない。
なんといっても、受け手は私ただ一人なのである。
途中退席したいのも山々だが、それでは相手があまりにもかわいそうではないか。
私は話し終えるのを忍耐強く待ち、ようやっと終わったかと思ったが、残念ながら二人目の解説が始まった。
一人目も大層舌を噛み、発音不明瞭であったが、二人目も良い勝負である。
二人の要領を得ない解説を聞き終えた後、私はそそくさと出口に向かったのだが扉が開かない。
ドアノブと悪戦苦闘していると、外側から開けられた。
そこには映画研究会員が集結し、両脇に立ち並んでいる。
ハリウッドスターのような歓待を受けたのであるが、これもまた気まずいことこの上ない。
私は適当に会釈しつつ、その場を立ち去ったのであるが、しばらく行くと誰かが追いかけてきた。
映画研究会員の一人だ。
アンケートでも書かされるのだろうか、と思っていると、「あ、これフェアトレード商品(売上げは貧困国に寄付するらしい)です」と言って、ポップコーンを渡された。
その後、ヤノタク(人格豹変天然癒し系男児)とともに、十六時二十分開演の『スラムドッグ$ミリオネア』を観に行くことにした。
受付を通り過ぎる時、妙に笑われた。どうやら、私のことを覚えているようである。受付どころか、遠巻きにいる映画研究会員も笑っているではないか。
実にけしからん。
会場に入ると、カップルの多さに呆然。
「女と来りゃ良かった。失敗したわ」
と言うと、ヤノタクのまなじりは避け、怒髪が天を突くかのごとく、猛烈に怒り始めたので、諫めるのに随分と苦労した。
上映終了後、受付の前を通り過ぎる時、またも両脇に映画研究会員が立ち並んでいるではないか。
彼らは私を見るなり、何がおかしいのか、それとも神経がいかれているのか、爆笑していた。
「あ、これフェアトレード商品です」と言って、私にポップコーンを渡してくる男も、
「あ、これ、フェアトレード商品の宣伝です」と言って、名刺型公告を手渡す男も、私を見て笑うのである。
そしてそのことについて某友人に話すと、彼にも笑われたのだった。笑われるより笑いたい。切実にそう思った一日であった。
私は常日頃から尋常でない忘却能力を遺憾なく発揮し、物を紛失し、予定を忘れてしまう特質の持ち主であるゆえ、鍵もチェーンでズボンにつけている。
TSUTAYAのバイト先では、そのチェーンがセキュリティー解除の磁石に吸い寄せられて、度々よろめいている。
女子高生から失笑を買う。
今週、映画研究会なるものが映画を上映していた。
朝の十時四十分開演のブラッドダイヤモンドを観にいった。最初、会場に入ってすぐ、私は来る場所を間違えたと思った。
上映五分前であるにも関わらず、人が誰もいないのである。
がしかし、間違いなはずはない。
直前まで場所を確認していたし、第一、入り口では映画研究会らしき人物が受け付けにいたではないか。
少々の不安を持ちつつ、席に着いた。
結局、人は誰も現れず、そのまま映画は開始された。
映画自体は実に素晴らしかった。感動の一作で、我が拙文を読んでいる紳士淑女の皆様にも是が非でも観てもらいたいものであった。
映画が終了すると、前に映画研究会員二人が現れた。
そして、おもむろに映画の解説を始めたのである。
気まずいことこの上ない。
なんといっても、観客よりも解説者の方が多いのだ。
目のやり場に困った(という表現は、だいたい女性の服装関連について用いる表現だが、この場合は致し方ない)。
がしかし、視線を逸らすわけにはいかない。
なんといっても、受け手は私ただ一人なのである。
途中退席したいのも山々だが、それでは相手があまりにもかわいそうではないか。
私は話し終えるのを忍耐強く待ち、ようやっと終わったかと思ったが、残念ながら二人目の解説が始まった。
一人目も大層舌を噛み、発音不明瞭であったが、二人目も良い勝負である。
二人の要領を得ない解説を聞き終えた後、私はそそくさと出口に向かったのだが扉が開かない。
ドアノブと悪戦苦闘していると、外側から開けられた。
そこには映画研究会員が集結し、両脇に立ち並んでいる。
ハリウッドスターのような歓待を受けたのであるが、これもまた気まずいことこの上ない。
私は適当に会釈しつつ、その場を立ち去ったのであるが、しばらく行くと誰かが追いかけてきた。
映画研究会員の一人だ。
アンケートでも書かされるのだろうか、と思っていると、「あ、これフェアトレード商品(売上げは貧困国に寄付するらしい)です」と言って、ポップコーンを渡された。
その後、ヤノタク(人格豹変天然癒し系男児)とともに、十六時二十分開演の『スラムドッグ$ミリオネア』を観に行くことにした。
受付を通り過ぎる時、妙に笑われた。どうやら、私のことを覚えているようである。受付どころか、遠巻きにいる映画研究会員も笑っているではないか。
実にけしからん。
会場に入ると、カップルの多さに呆然。
「女と来りゃ良かった。失敗したわ」
と言うと、ヤノタクのまなじりは避け、怒髪が天を突くかのごとく、猛烈に怒り始めたので、諫めるのに随分と苦労した。
上映終了後、受付の前を通り過ぎる時、またも両脇に映画研究会員が立ち並んでいるではないか。
彼らは私を見るなり、何がおかしいのか、それとも神経がいかれているのか、爆笑していた。
「あ、これフェアトレード商品です」と言って、私にポップコーンを渡してくる男も、
「あ、これ、フェアトレード商品の宣伝です」と言って、名刺型公告を手渡す男も、私を見て笑うのである。
そしてそのことについて某友人に話すと、彼にも笑われたのだった。笑われるより笑いたい。切実にそう思った一日であった。
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