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自主規制なし
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 世界では一秒間に二人が死んでいる。
老若男女貴賎善悪に関わらず、死んでいっている。


中には自業自得で死にゆく者もいるだろうが、責められない事情で息絶えてゆく者もいるはずだ。
私は寝る前に生死について深く考えることがある。すると、とてつもない恐怖に襲われることもある。


死とはなんぞや。
死んだ後こちらに帰ってくる者が誰一人いないのだから、真に自由がなくなるのか、はたまた相当居心地がいいのか。


けれども結局、自分はまだ死なないな、と安易に考えて、ぐっすり眠るのである。
とはいえ、私の友人に常に死にかけている者がいるゆえ、やはり快眠できるわけがない――ということもない。

別段いつ息を引き取っても構わぬ存在だからなのかもしれない。

ご存知の方もいるだろうその名は、神風。

今でこそしていないと思うが、彼はやや大きめのスピーカー二つから爆音を繰り出していた。
スピーカー本体が振動し、近くにある紙なども震動していることからも、その音の大きさが窺い知れるというものである。

無論、隣人が激昂しないわけはない。
壁をこれでもかと言わんばかりに殴打してくる。

壁が裂けたかと錯覚するくらいの音に驚いた私だが、神風は「なんであいつはいつも叩いてくるんだろう」と首を捻っている。
私は、心底この頭の弱い友人が哀れに思えてならなかった。

一応、多分隣人はお前のあまりの傍無人なレベルの大音量に怒髪で天を突き、眦は裂けんばかりに開いて、壁を親の敵のごとく打ち叩いてるのだ、
と言ったがしかし「そうかな、そうなのかなあ」と彼は半信半疑状態であった。

このままではきっと殺人騒動にも繋がりかねないと感じた私だが、殺されるのは所詮この頭のネジを全部締め忘れた友人である。私ではない。ここが肝心だ。
ゆえに私はその日、心おきなく爆音を聴いていた。

その日は泊まりだったわけだが、いつか神風が冷たい仏様になっているだろうなあ、と思いながら眠りに就いたのは今でも覚えている。



数週間後、さすがに彼も爆音と壁の殴打には密接な関連性があると気づいたらしく、
私が爆音にしようとすると、「止めろよお。あいつ多分この音で怒っているんだぜ?」と、私が披露した自説をさも自分のものように説明してきた。

これでほぼ確定的な未来たる殺人騒動を回避したかに見えた彼であったが、次には扉の前に部屋に収まりきらないダンボールやらゴミやらを撒き散らし始めていた。
彼は、おそらく今もなお明日をも知れぬ身である。未来は変えられない(ターミネーター風に)。

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